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2017月12日11日

Hot, Simple and Deep.

タイトルにした「Hot, Simple and Deep.」、この一言だけで気づいた方は Apple マニアでもガジェットマニアでもなく、立派な Steve Jobs マニアです。ホットでシンプルだけどディープなウェブサイトの構築アイデアを記しておきます。

ホットであれ。

どんなものにだって流行り廃りはあります。

トレンドを作り出すことはマーケティングや世論、場合によっては運などのいろいろな要素が複雑に絡み合ってくるのでカンタンなことではありません。しかしトレンドに合わせたデザインを生み出すことは、注意深くトレンドを研究してやれば不可能ではありません。

例えば初代 iPod は発表当時ホットでした。また、シンプルでした。しかし初代 iPod nano は初代 iPod より発表当時はホット(The original iPod nano got hotter than the original iPod!!)でした。当然、どちらも優れたデザインですが、少なくとも今ホットではありません。

初代 iPod nano はその後バッテリーがホットでビッグになっちゃうことで話題にはなりましたが・・・。

シンプルであれ。

ウェブサイトをシンプルにするのは伝えたいことが多ければ多いほど難しい。

大企業(特になんちゃらホールディングス)のウェブサイトってコンテンツが多すぎて、ナビゲーションが多すぎて、一体何を伝えたいものなのかわからないことがありませんか?

もちろん、本社オフィスへのアクセスなど現代のコーポレートウェブサイトに最低限必要な情報は満たされていることが大前提ですが、グループ会社の紹介などがそこらじゅうに散らばっているウェブサイトじゃ、どこを見に行ったらいいのか・・・ユーザーは時間を浪費するだけです。

その点、スタートアップのウェブサイトはシンプル。

製品が少ない、伝えること、フォーカスすることが少ないことが、逆にシンプルでその企業が何を伝えたいかがストレートに伝わってくる場合が少なくありません。

足し算しか存在しないデザイン手法はいつか崩壊します。デザインのプロセスには、いつだって勇気のある引き算が必要になる場面があるのです。

引き算しようとするとクライアントが納得してくれないですか?

そこはデザイナーがポリシーをしっかりと持つこと、作っているウェブサイトが何を伝えたいのかをデザイナー自身が理解してクライアントへも丁寧に説明してアイデアを共有すること、そこから生じるクライアントへの魅力的な提案力、etc・・・腕の見せ所です。がんばりましょう。

そしてディープであれ。

ホットなものは人気が出ます。シンプルなものはわかりやすいです。しかしそれが薄っぺらいものだと・・・大量生産大量消費の現代なら、せいぜい数回消費されてそれで終わりです。

それって作り手として少し寂しくないですか?(もちろんあなたが悪い意味での雇われデザイナーとして、お金のために時間を売っているのならそんなことを感じることもはないでしょう)

じゃあディープに、日本の古典的な表現で表すなら「噛めば噛むほど味が出る」ものにしましょう。

ファンはその愛情度が増すごとに、あなた(もしくはあなたの作ったウェブサイトやそのクライアント)に様々なストーリー(うんちく)を求めてきます。一見面倒なことに感じるかもしれませんが、そのストーリーが魅力的であるとファンはさらにブランドに興味を持ち、今まで以上のファンとなってくれるでしょう。一見シンプルなウェブサイトにそんなストーリーを暗示するものを仕込んでおくことは、ファンにブランドの虜になってもらう絶好の手段です。

ディープにしていく方法は様々にあります。コンテンツ自体にストーリーを仕込む方法、デザインにストーリーを仕込む方法、ブログでストーリーを発信する方法、etc...(極端ですが実際に時々あるものではソースコードに何かしらのネタを仕込むなんて方法もあります)。

あなたの作っているウェブサイトがファンを増やすために存在しているものであれば、ここまでやってやっと成功への最初の道と言えるでしょう。

もちろん、最低限の企業情報などをユーザーへ提供するためのウェブサイトであればここまでやる必要はないかもしれません。しかし情報はウェブで調べることが多い昨今の事情を考えれば、すべてのウェブサイトはここを目指すべきとも言えるかもしれません。

ただ最後に。

この記事に書いたウェブサイト構築の話は、頑固一徹なオヤジさんの営む町裏の知る人ぞ知るような魅力だけで成立してしまっているビジネス・・・みたいな一部には向きませんし、きっとそのオヤジさんも、この記事に書いたようなことは一切望んでいないことでしょう。それだけはお忘れなく。



アトトックラボとは

株式会社アトトックメンバー が技術の話、デザインの話、キャラクターの話、ときどき脱線してガジェットの話やライフハックの話など好きなことを書いています。


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